毎年7月に入ると、京都の通りを行き交う人々はコンチキチンの音色に心を躍らせます。長刀鉾のお囃子は「コンチキチン」の鉦の音で親しまれています。祇園祭に奏でられるお囃子は鉦と太鼓と笛が絡みあった音。祇園囃子は室町時代に成立し、江戸時代に現在のような優雅なものに洗練されたと伝わっています。山や鉾それぞれにその調律は微妙に異なり、先人からの口伝と伝承により綿々と伝えられてきたのです。
囃子方の構成
6月下旬になると囃子方は初寄りで打ち合わせを行い、7月に入ると町家で稽古を始めます。鉾建ち後は鉾上での演奏となります。
長刀鉾では稚児と禿をつとめた少年が、翌年から鉦方に参画することが慣例となっています。成人に達してからは太鼓方や笛方にまわります。長刀鉾では囃子方の人数は、鉦方8名、笛方10名、太鼓方2名で構成し、巡行時には交替要員を含めて総勢約40名が鉾に乗り込んでいます。囃子方の総員は百名を超えます。
巡行当日は各所で様々な曲目が演じられます。そのレパートリーは各鉾により異なりますが、それぞれ約30曲ほどが伝わっているそうです。
長刀鉾の囃子曲
長刀鉾の囃子曲名の主なものは次の通りです。
地囃子、上ゲ、神楽、唐子、兎、流し、朝日、青葉、鼓、霞、筑紫、千鳥、柳、獅子、四叟、扇 、巴、九段、緑、柏、御祓、四季、浪花、古、太郎、美知賀、ぬけ、日和神楽、他